「一般社団法人共生社会実現サポート機構とんとんとん」設立の背景には、8年間佐伯で医師として、精神疾患や認知症診療に携わってきた経験があります。
子育てに悩む若いお母さん、病気のために職を失ったり居場所のない精神疾患のひと達、認知症を発症して自信を失った高齢者の方々、引きこもりのお子さんを抱えたり、介護に悩むご家族…この人達に笑顔を取り戻させるためには、診察室だけの診療では限界があると考えたからです。
また、佐伯市とも協同して疾患啓発のために、公民館や中学校での出前講座に取り組んできましたが、行政はどうしても事業が縦割りなのが難点ですし、部署移動があります。しかし、地域には分野は違えど、継続して素晴らしい活動をしている方や活動したいと思っている方が沢山おられます!そんな佐伯という地域の限られた貴重な人的財産を繋げ、発掘し、育てていくことで、かなりの力になると信じています。
僕が佐伯市で取り組んできたことのひとつが、まちなかカフェ「オレンジカフェさいき」です。 2年前より月に2回だけですが、第1・3日曜に、よろうや仲町で開催してきました。
通常、オレンジカフェは認知症の方やそのご家族を対象としたイベントですが、ここでは、目や身体の不自由な方、精神障がいのある方など、誰もが参加できる場、②みんな「さん」づけで呼び合い、ひとりの人として過ごせる場、として地域の仲間達や地元高校生などの有志で運営し、平成30年1月現在、58回、のべ1,400人を超える方にご参加頂いています。
大分県下や近隣県からも多数見学者が訪れ、5箇所のオレンジカフェ開設を支援して参りました。 笑顔が溢れる「オレンジカフェさいき」の運営を通して学んだことは、私達自身が笑顔になり元気が循環すること、認知症の方や障がいのある当事者が飲み物の注文や準備などの裏方を担ってくれたり、特技を披露してくれてその力に驚かされたこと、精神障がいの方と接したことのないひと達が一緒に過ごすことで理解が得られたこと、などがあります。
年齢や障がいの有無、種別を超えて、“ごちゃまぜ”で活動することで、障がいの理解はもとより、誰もが尊いひとりの人であることを一般の方や子供たちにも伝えることができること、また、元気を与えてくれたり、マンパワーとしても貴重であることを確信した次第です。
是非とも活動拠点を設けたい場所は、かって賑わった佐伯市の仲町商店街のなかを希望してきました。アーケードがあるため、雨の日でも乳母車、車椅子、シルバーカーで散歩できるのも魅力ですし、何よりも高齢者がいきいきします。
また、私ごとですが、実家が呉服屋で商店街の中で育ってきました。地域は異なれ、商店街の活性化にも一役買えればと恐れ多いことを考えています。 活動が開始した折には、笑顔に逢いに、元気になるためにぜひお越しください!